近年「歯の健康は全身の健康」とよくいいます
歯の病気である歯周病とさまざまな病気との関連が明らかになってきたからです。
病気とは、心臓病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどなどの生活習慣病。
今回は、歯を健康に保つことでどんな良いことがあるのかを紹介しましょう。
目次
健康な歯は大事な栄養素を摂取するツール
歯周病にかかって歯が悪くなってしまうと、いろんな食べ物をバランスよく食べることができなくなってしまいます。
例えば、歯の本数によって食べられるものはこのような感じです。
- 0~5歯で食べられるもの:バナナ、うどん
- 6~17歯で食べられるもの:かまぼこ、豚肉、おせんべい
- 18~28歯で食べられるもの:たくあん、フランスパン、おこわ
赤ちゃんに、生え始めの4本程度で固いタコを食べろといっても難しいのと同じです。
自分の歯で噛めるということは、自分で様々な栄養を取り入れることができ、健康の維持・向上になります。
噛むという行為そのものが脳に良い影響があることもわかっています。
日本では歯の健康に注目してこんな目標を立てていますよ。
- 80歳になっても自分の歯を20本以上保つこと
- 60歳で自分の歯を24本以上保つこと
- 40歳で自分の歯をすべて保つこと
高齢になるにつれて歯がなくなるのは老化現象だから仕方ないと思われがちですが、そうではないんです。
歯周病をきちんと予防・治療すれば、理論上何歳になっても自分の歯を保つことができます。
日本では平均寿命が世界一で長寿大国なんていわれていますが、実は歯の寿命が平均寿命に追いついていません。
成人の80%以上が歯周病ともいわれていて、歯の健康が置き去り状態なのです。
出典:全国健康保険協会
なんで歯周病がそんなに流行っているのか?
歯周病はサイレント・ディシーズ
歯周病は生活習慣病の一つです。
生活習慣病が流行っている理由の1つが、本人にあまり自覚症状がないこと。
ほかの糖尿病・高血圧症・心臓病とも似ている点ですが、これを「サイレント・ディシーズ」と呼びます。
気づいたときには病状がかなり進行している場合がとても多いのです。
検診にいきましょう!!とよく言うのがそのため。
歯科検診はなかなか行く機会がないと思いますが、意識の高い人は定期的に通って、病気の原因になりがちな歯垢をとってもらっているようです。
歯垢とは、細菌の塊のヌルヌルした部分のことです。
歯垢は歯磨きだけがなかなかとりにくいです。
歯垢は細菌のため、そのまま放っておくと歯周病が進行してしまいます。
ではここで歯周病度をチェックしてみましょう。
歯周病度チェック
- 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
- ブラッシング時に出血する。
- 口臭が気になる。
- 歯肉がむずがゆい、痛い。
- 歯肉が赤く腫れている。
- かたい物が噛みにくい。
- 歯が長くなったような気がする。
- 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
※上記の項目3つあてはまる:油断は禁物です。ご自分および歯医者さんで予防するように努めましょう。
※上記の項目6つあてはまる:歯周病が進行している可能性があります。
※上記の項目全てあてはまる:歯周病の症状がかなり進んでいます。
どうでしたか?
チェックがついたら早めの対処をして健康な歯を取り戻しましょう。
さてではようやく本題、歯を健康がどんな良いことにつながるかご紹介しましょう。
よく噛むことがもたらす効用5選
よく噛むことは良い効果がたくさんあります。
具体的にどんなことでしょうか。
肥満を予防
まず、よく噛むと満腹中枢が刺激されます。
「あ~おなかいっぱい」という気持ちになりやすく満腹感を得られるので、食べ過ぎの防止になります。
大食いの人達は、満腹感にならないようほぼ流し込んでいるそうですよ。
プロの技ですね。
虫歯・歯周病予防
つぎに、噛む行為はたくさんの唾液を分泌します。
唾液は細菌を洗い流す作用もあるため、むし歯・歯周病の予防になりますよ。
唾液には、さまざまな種類の酵素が含まれています。
アミラーゼやプロチアリンはよく耳にするのではないでしょうか。
それぞれの働きがこちら。
出典:日本口腔保健協会
唾液に含まれる消化酵素アミラーゼはでんぷんを分解するので、消化吸収能力をサポートします。
でんぷんは炭水化物のことです。
炭水化物が消化しきれずに体内にたまると、おわかりのとおり肥満へ一直線。
よく噛んで消化してあげることが大事です。
味覚が敏感に、食育にも◎
また、味覚が敏感になって食べ物の味がよくわかるようになります。
味を感じる器官は「味蕾(みらい)」といい、液状に近いものほど味を敏感に感じとります。
つまり「よく噛んで小さく液状に近い状態にすることで繊細な味がわかる」ということです。
味がわかると、食べることが楽しくなりますし、危険な味にも敏感になります。
特に子供は大人の3倍も味覚が発達しています。
たくさんの味を薄味から順々に食べさせてあげて、よく噛んで食べる習慣をつけさせてあげると良いですね。
明るい表情に、美容にも効果大
よく噛むことで、咀しゃく筋や表情筋が鍛えられます。
そうすると、言葉や表情が生き生きするだけでなく、顔のたるみが解消されたりシワが薄くなったり、小顔効果もあります。
つまり食べる時間がそのままダイエットの時間になるわけです。
「ガム噛み効果で 小顔効果!」なんて見出しのサイト、たくさんありますからぜひそちらもご参考に。
脳が活性化してパフォーマンスアップ
噛むというと、少し前に賛否両論だった「スポーツ選手のガム噛み」。
日本では「食べながら」何かをすることは下品と思う文化があります。
この時も、マナーが悪いとか態度が悪いとか、さんざんに叩かれた選手もいました。
でも、スポーツ選手たちがガムを噛むのにはれっきとした理由があるのです。
噛むことは、集中力を上げたり、精神的な気持ちを安定させたり、唾液が常に分泌されるので脱水症状が抑えられたりと、実に良いことづくしな理由があるのです。
そのメカニズムはいろいろありますが、噛むことで血流量が大きくなるのが一番の理由。
これらは全てエビデンスに基づいた研究結果から明らかになっていることです。
また、スポーツ選手は、瞬間の力を込めるために歯を食いしばり実は歯がボロボロ…
これを緩和するためにガムがクッションの役割も果たしているそうですよ。
「噛むこと」の効用についてスポーツ選手を取り上げましたが、これは勉強もおなじです。
試験前など集中したいときにぜひ試してみてはいかがでしょう?
おわりに
いかがでしたでしょうか。
歯を健康に保って、よく噛むこと、これだけなのに良いことづくしだと思いませんか?
なお、歯周病度チェックについて、もしもチェックがついた場合それぞれの段階に応じてすぐに対処しましょう。
今、日本は開業医の歯医者さんがたくさんあります。
お仕事をされている方はお昼休みにちょこっと寄ることもできますよね。
また、外出する際は常に歯ブラシを携帯しても良いかも。
外出先でも、日本ならば衛生面で心配がないお手洗いもたくさんあるので、ささっと歯磨きすることができますよね。
歯磨きの理想は、食後20分以内に磨くこと。
それが難しい方は、朝・夜は必ずしっかり歯磨きするようにして、「丁寧な歯磨き」を習慣づけましょう。
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