白菜が700円以上になるなど「野菜が高くなった」と言われたこの冬。
ようやく値段は落ち着いてきたようですが、今シーズンは「鍋物」の機会が少なかった方も多いのではないでしょうか。
野菜や天然の魚のような生鮮食品は、天候などの影響で供給量が少なくなることがあります。そのため、値段が変動しやすい食品と言えるでしょう。
そんな時、家計の強い味方になってくれるのが「冷凍野菜」などの冷凍食品。私も、今シーズンは冷凍野菜にずいぶん助けてもらいました。
しかし冷凍食品については、添加物や栄養などについて不安なイメージを持っている方が多いというのも事実です。
そのイメージが本当なのか、今回は冷凍食品のメリット・デメリットについて解説します。
目次
冷凍食品の3つの特徴
まずは「冷凍食品」の基本からお話していきます。
スーパーマーケットに行けば大型の冷凍庫に様々な種類の冷凍食品が並んでいます。また、インターネット通販でも手軽に注文できるようになりました。
みなさんご存知のことも多いかと思いますが、あらためて「冷凍食品とはどのようなものか?」というところを説明させていただきます。
普段目にする冷凍食品には、3つの大きな特徴があります。
1.適切に前処理されている
材料をきれいに洗い、野菜の皮や種、魚の頭や骨などを取り除くなどの「下ごしらえ」がすべて終わっています。
また、冷凍野菜は「ブランチング」という下ゆで作業もされています。生野菜には酵素が含まれており、火を通さないと変色などの恐れがあるためです。
ブランチングは完全に火を通すわけではなく、7割程度の加熱になっているので、電子レンジでの解凍や炒めるなどの調理によってちょうど良い火の通りなるようになっています。
フライなどのお惣菜の場合は、味付けをしてフライの衣をつけてあるなど、衛生管理から調理の大部分までの前処理がしっかりされているのが冷凍食品の特徴です。
2.急速凍結されている
冷凍食品の大きな特徴のひとつが、この「急速凍結」です。
食品の中に含まれる水分は、凍結する時の温度によっては食品の組織(細胞)を壊してしまいます。具体的には-1~-5℃の時に水分は大きな氷の塊になり、食品の組織を壊しやすくなるのです。
たとえば、買ってきた肉を冷凍した場合、解凍した時にドリップが出ますよね。これは肉に含まれる水分が凍るときに、肉の組織を破壊しているために起こります。
冷凍食品の場合、急速凍結によってこの温度帯を30分以内に通過させ、氷の塊を細かくすることで、食品の組織をそのまま保ちやすくしているのです。
3.-18℃以下で保管されている
急速凍結された冷凍食品は、その後の製造や輸送、販売の過程で、常に「-18℃以下」の状態を保たれています。
パックなどの表示でも「-18℃以下で保存してください」と書かれていますね。
厚生労働省の基準では-15℃以下なのですが、実際にはさらに低い温度で管理されているのです。
-18℃以下は、国際的な食品の規格である「コーデックス規格」でも決められている温度。
この温度で管理することで、食品の酸化による劣化や微生物の繁殖を防いで、味と安全性を保てます。
買ってきた冷凍食品は、-18℃以下の冷凍庫で保管するようにしましょう。
冷凍食品の4つのメリット
便利な冷凍食品ですが、メリットとして挙げられるのは以下の4点です。
時短効果
冷凍食品の便利さと言えば、まずこれですね。事前にある程度下ごしらえや調理をされていますので、実際の調理時間が短くて済みます。忙しい朝にお弁当を作る時、あるいは仕事が遅くなって、早く夕食を作りたい時などには便利です。
これは、お惣菜のような「半調理済み冷凍食品」だけではなく、包丁で切ったり、野菜の下茹でをしたりする手間を省ける冷凍野菜などにも言えるメリット。
シーフードミックスを1から準備することを考えると(イカを切って、貝の殻を取って、エビの殻をむく!)、時短のメリットがイメージできるのではないでしょうか。
長期間のストックが可能
ふたつめのメリットは、長持ちすること。特に野菜などの「生では長持ちしないもの」は、このメリットが非常に大きいです。
この春からひとり暮らしと自炊を始めたという方もいらっしゃるかと思いますが、ひとり分の食事を作る場合、野菜を使い切るのはなかなか大変なもの。悪くなる前に食べ切ろうと思えば、毎日食べ続けなければいけないことにもなってしまいます。
しかし、冷凍野菜の場合は必要な分だけ取り出して使って、残りは冷凍しておくことができるのです。
また、冷凍庫に入る分をまとめて買い置きできるのも、生の野菜にはないメリットと言えるでしょう。
保存料を使っていない
あまり知られていない冷凍食品のメリットが、これです。「添加物が気になる」という方には、ぜひ知っていただきたいメリットですね。
前述したとおり、冷凍食品は微生物が繁殖しない-18℃以下で製造・流通しています。そのため、保存料を使う必要がないのです。
さらに、冷凍野菜やシーフードミックスなどの「冷凍食材」の場合は、塩分や調味料といった味付けに使用する添加物も使用していません。冷凍ほうれん草やブロッコリーなどは鮮やかな緑色をしていますが、これは着色しているわけではなく、ブランチングによって火を通しているためです。
ただし、あらかじめ味付けなどの調理がされている「半調理済み冷凍食品」の場合は、必要に応じて添加物を使用しています。気になる方は、パッケージを確認して使いましょう。
栄養価は低くない!
こちらもあまり知られていないメリットです。野菜は季節によって栄養価が異なりますが、冷凍野菜は旬の野菜を新鮮な状態で凍結しているため、栄養価が保たれています。
ブランチングによってビタミンやミネラルが減ることはありますが、家庭での調理でも下処理の段階で同じ程度減ることを考えると、旬を外れたものについては冷凍野菜の方が安くて栄養もあるということが多いです。
たとえば、よく見かける冷凍野菜のひとつの「ほうれん草」の場合、以下のようになります。(アク抜きのためにゆでたほうれん草と、冷凍ほうれん草を比較)
冷凍食品の3つのデメリット
便利で安全な冷凍食品ですが、デメリットがないわけではありません。メリットばかりではなくデメリットも知って、上手に使いこなしましょう!
種類が限られている
いろいろな種類の冷凍食品はありますが、それでも種類には限りがあります。近くで買える商品になると、さらに少なくなるでしょう。
たとえば冷凍野菜であれば、よく見かけるのは「ほうれん草」「ブロッコリー」「ミックスベジタブル」あたりはよく見かけますが、スーパーに並んでいる生鮮野菜と比べるとやはり少ないもの。
業務用スーパーなどが近くにあれば、他にも「アスパラ」「にんじん」「じゃがいも」など、バリエーション豊富に手に入るでしょう。
ワンパターンな食卓になれば、栄養の偏りも起きやすくなりますので、冷凍食品ばかりに頼るというのも考えものです。
生野菜としては使えない
前述したとおり、冷凍野菜はブランチングによって火を通しています。
炒め物やスープになら使いやすいのですが、サラダなどの生野菜として使うことができなくなります。
とはいえ、サラダによく使う冷凍野菜はブロッコリーやアスパラなど、もともと火を通すものが多いので、デメリットというほどでもないかもしれませんね。
旬の野菜に比べると高い場合が多い
冒頭で述べたように、野菜の値段は天候などの影響を受けやすいもの。
しかし、旬の野菜に関しては冷凍野菜よりも生野菜の方が安いことも多いですね。
とはいえ便利なことは間違いないので、時短効果とのバランスを考えて選びたいところです。
冷凍食品を上手に使うコツ
上手に使うためには、メリットを最大限に活かすのがポイントです。
たとえば……
- 「時間がある場合は、旬の野菜は生のものを選ぶ」
- 「そうでない場合に冷凍野菜を使う」
などが、賢い使い方と言えるでしょう。調理済み冷凍食品の場合は、添加物も確認しつつ、手作りの安心感と時短のメリットを考えて使い分けたいですね。
「冷凍食品なんて絶対ダメ!」と思いこむよりも、状況に応じて上手に使いましょう。
冷凍野菜活用レシピ
洋風野菜のハーブスープ
- 冷凍洋風野菜……100g
- 固形コンソメ……1/2個
- ハーブ類(バジル、オレガノ、セージなど)……少
- にんにく……1/2片(おろしにんにくでもOK)
- オリーブオイル……小さじ1/2
- 水……1カップ(200cc)
- にんにくをみじん切りにします。(おろしにんにくの場合は省略)
- 鍋にオリーブオイルを中火で熱して、にんにくを炒めて、冷凍洋風野菜も入れて炒めます。
- 水、固形コンソメ、ハーブ類も入れて3~4分煮込んで、完成です。
手軽に野菜が摂れる一品です。
コンソメ味によく合うタイムなどの香草を加えれば、塩分控えめでも美味しく召し上がれます。
鶏肉(60g程度)を追加しても美味しいですよ!
ほうれん草のエスニックおひたし
- 冷凍ほうれん草……60g
- あさり缶詰……1/5缶(20g弱)
- ☆ナンプラー……小さじ1/2
- ☆レモン汁……小さじ1/3
- ☆砂糖……少々
- 冷凍ほうれん草を電子レンジで1~2分加熱します。
- 1.のほうれん草の粗熱が取れたら、あさりと☆の調味料と混ぜ合わせます。
- 冷やして器に盛れば、完成です!
手軽な野菜のおかずにも、おつまみにも最適の一品。
ナンプラーがない場合は、しょうゆでも美味しいです。
【出典】かんたんレシピ | 冷凍食品・冷凍野菜はニチレイフーズ
まとめ:正しく知って、活用しましょう!
今回は、便利な「冷凍食品」について解説しました。
まとめると、以下のようになります。
- 冷凍食品は、急速凍結で栄養を保っており、-18℃以下で管理されることで保存料も使わない食品です。
- 手軽に使えて、長期間のストックもできるなど、時短もできるメリットがあります。
- しかし、冷凍食品だけでは食材のバリエーションが少なくなるので、旬の野菜などと上手に使い分けましょう。
ご存知の通り簡単で、イメージに反して安全で栄養も摂れる冷凍食品。
メリットとデメリットを知って、美味しく活用しましょう!
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