皆さん、寒い日々にだんだん慣れてくるこのころ、健康への意識は薄れてきていないでしょうか。
ダイエットと一緒で、健康維持や改善のためには、まずはご自身の体の状態を正しく知ることが重要です。
予防医学をすすめるからにはまずお話ししておかなければならない健康診断について。
健康診断は子どものころや40代以降だけでなく、全国民が年に1回は受診すべきであることをご存じでしたか?
会社にお勤めの方は、会社で加入している健康保険組合などによる健康診断や人間ドックを受診する機会があるかと思います。
そういう方は安心ですが、受けられる検査項目は会社によって異なりますので、ご自身に必要だと思う場合は、追加で受診できるかどうかなどを確認する必要があります。
また、フリーランスの方や主婦の方でご主人の会社で受診できない場合もありますよね。
育児をしながら長時間の受診が困難だという事情もあるかもしれません。
今回は、そもそもの健康診断の意義と、数ある健康診断の内容とそれぞれでわかる可能性のある疾患、費用負担が少なく受診する方法について紹介していきます。
目次
健康診断を受ける意義・理由
健康診断は受けたほうが良いか否か。
もちろん「受けたほうが良い」が正解。
どんな小さなクリニックの医師でも大病院の医師でも「受けたほうがいい」と答えるでしょう。
健康診断を受けておいて良かったというエピソードは、がんを早期に発見できたというものが多いです。
反対に、それまで健康診断を受けていなくて、見つかった時はもう末期がんで余命わずかというケースも少なくありません。
また、脳梗塞も気づかないうちに発症しており、再発した際に後遺症が残ってしまったという話もあります。
健康診断を受けていれば、がんも根治可能だったかもしれませんし、
脳梗塞も再発リスクを念頭に置いた生活をするようになり、そもそも再発しなかったかもしれませんし、再発しても後遺症が残らなかったかもしれません。
いずれも、健康診断を受けているに越したことはないなと思えますよね。
がんは通常の一般健診と呼ばれるものでは発見されることが少なく、早期発見のためにはがん検診の受診がおすすめです。
ちなみに、がん検診でがんが見つかる確率が国立がんセンターの統計情報でありました。
がん検診でがんが見つかる率
こちらは平成19年度のデータですので若干古いものの、がん検診の受診者数に対してがんが発見された確率が載っています。
表記が省略されている用語の説明から。
- 発見がん数→受診者のうちがんが発見された人数
- 要精検者数→要精密検査者数(検診を受診した人のうち、精密検査が必要になった人の数)
- 精検受診者数→検査の結果精密検査が必要となった人のうち、精密検査を受診した人の数
受診者数が多いのは大腸がん胃がん・肺がん・胃がん検診。
婦人科系でしたら子宮頸がん検診の受診者の割合が最も多くなっています。
この統計でまず気になるのが受診率の低さ。
約80%の人ががん検診を受診していないことがわかります。
そして受診している人のうち、がんが発見された率は、乳がんは最も多く0.27%でした。
つまり、1000人検査を受けたら2人はがんだったということ。
ちなみに、「検査を受診する」人というのは、たいていもともと「健康意識が高い」人が多いです。
がん発見率は低いと思うかもしれませんが、受診していない人達の方が実際がんである割合は大きいでしょう。
ちなみに「精密検査」となるケースは胃がんが10%と高確率ですが、こちらはどういうことでしょうか。
これは、がんかもしれないから詳しく検査して確かめてみましょうということで、がんになる前の「前がん病変」(がんですとは言わない)などが見つかる場合があります。
これは見つかって良かったもので、さっさと治療すればがんになる心配はなくなります。
そう考えると、胃がんの場合は受診者のうち10%もが「がんの疑い」ありということになります。
この数値をみると怖くなりませんか?
健康診断の目的
健康診断の目的は、皆さんご存知のとおり、「自覚症状のない病気の早期発見」です。
ここからは予防医学の話しになりますが、予防医学の「予防」は3つのステージにわかれています。
それがこちらです。
- 一次予防(疾病前段階):健康増進・疾病予防・特殊予防
- 二次予防(疾病段階):早期発見・早期対処・適切な医療と合併症対策
- 三次予防(疾病段階):リハビリテーション
予防医学についてはこちらの記事もご参考に。
健康診断の「予防」に該当するのは一次予防と二次予防です。
一次予防は、健診の結果から生活習慣の改善をして病気を予防すること。
健康診断を受診することで、生活習慣の問題点を自覚し、改善に取り組むきっかけになります。
二次予防は、病気を早期に発見し早期治療につなげること。
健康診断によって病気に罹っていたことがわかるかもしれません。
早期発見・治療によって病気の悪化を食い止め、健康診断を受診しない場合に将来その病気にかかってしまっていた時間・費用の負担を軽減できます。
会社は「労働者に健診を受けさせる義務」があり、従事している方は年に1度は受診するよう通達がきますよね。
ではその、1年に1回は受けたほうが良いといわれる理由はなんでしょうか。
「1年に1回」の根拠は
毎年、何の異常もなく「健康」なのだから、健康診断を毎年受ける必要はないのでは?
そんな疑問を思う方は多いと思います。
ではなぜ1年なのか?
がんを取り上げ紹介していきます。
人の体は細胞で構成されています。
健康な人の細胞は全て「正常」ですが、突然何らかの刺激によって細胞の1つが異常を起こします。
これが、細胞が「がん化」するということ。
がんは異常な細胞のかたまりです。
異常な細胞ができてしまう原因はこちらでは詳しく述べませんが、その原因には、遺伝子のほかタバコ、食品の焦げ、紫外線などの外的要因も指摘されています。
さて、がん化した1つの細胞は、時間が経つと2個に分裂します。
2個になったがん細胞はそれぞれが分裂して4個に、その後8個、16個、32個、64個とどんどん増えていくのです。
”足し算ではなく掛け算”で増えていくので、がんの進行は自覚症状がないまま一気に悪くなっていることが多いのです。
この、細胞が2つに分裂する時間をダブリングタイムといい、目安はだいたい10日間です。
健康診断で行うX線検査で目視ができるサイズは大体1センチ。
1センチの大きさのがんは約10億個のがん細胞からできています。
約10億個のがん細胞になるまでには約30回分裂する計算になります。
つまり、約300日かかるということなので、去年異常がなくても、もしかしたら今年は検査で影が写るかもしれないのです。
これが、1年に1回受けたほうが良い理由で一番納得できるものです。
ただし、がんの早期発見については、一般の健康診断ではわからない場合がほとんどですので、人間ドックかがん検診を受診することが必須のお話しです。
では、人間ドックと一般の健康診断の違いは何でしょうか。
健康診断の種類
一口に健康診断といっても、その種類はさまざまです。
どんな健診があるのか、自分の年齢に適した健診は何なのか?
わからない方も多いと思います。
健康診断は主に3つの種類があり、より詳しく調べることができるのが「人間ドック」です。
- 一般健診(定期検診):1年に1回
- 特定健康診査(メタボ健診):40~74歳が対象
- 対策型がん検診
- 人間ドック
一般健診は、年に1回職場で実施される定期健診を含み、労働衛生を考え義務化されたものです。
一般健診の中には雇い入れ時健診や海外派遣健診、特定業務健診などが含まれていて、会社は労働者に対して該当する健診を受診させる義務があります。
特定健康診査は、40~74歳の人を対象に生活習慣病の予防・早期発見を目的に行われます。
対策型がん検診は、がんの早期発見を目的に5大がんの発見に特化した検査ができます。
人間ドックは上記3つとは異なり、義務化されている健康診断ではありません。
医療機関によって検査内容は多少異なるもの、一般健診や特定健康診査の内容をカバーし、さらに詳しい検査値が出たり、がん検診なども追加することができます。
一般健診と人間ドックの違い・比較
こちらは、一般健診と人間ドックの検査項目の比較です。
出典:人間ドック・健診MRSO
ちなみになぜ「ドック」というのか。
ドックとは、船の修理や建造用の施設を指す「dock(ドック)」のことです。
次の航海で事故が起こらないよう、点検・修理をするために入る場所の事を言います。
人間ドックの検査項目は、基本検査とオプション検査に大別されます。
基本検査は、全国どこの人間ドックを受けても共通で行われる検査です。
一般健診では行われない検査項目は、
- 目の病気を調べる眼底・眼圧検査
- 肺や気管支の病気を調べる呼吸機能検査
- 胃や食道を調べる上部消化管エックス線検査(バリウム)
- 肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などを超音波で調べる腹部エコー検査
- 大腸の病気を調べる便潜血検査
などがあげられます。
オプション検査は、自分の生活習慣や家族の病歴などを基に、希望する項目を追加できます。
人間ドックは、一般にさまざまな病気が気になり始める40歳代から受けるのが勧められます。
もちろん、家系にがんが多い方や心配な方は20代でも30代でも受診できますよ。
人間ドックの特徴としては、婦人科系の健診をオプションで付けられる点。
毎年受診したいと考えている場合は、人間ドックでまとめて検査しても良いかもしれません。
健康診断の受診の仕方
繰り返しになりますが、一般健診は会社に勤めていれば決まった時期にまとめて受けるか、それぞれ都合つけて受けてきてねというケースがあります。
その場合は特に問題はありませんが、気を付けたいのが、自営業の方やフリーランスの方、主婦の方など何もしなければ何の健康診断も受けられない方。
まずは年に1回健診を必ず受診しようと決意してください。
では受診の仕方についてです。
健康診断の受診方法で考えられるケースはこちら。
- 会社の一般健診(補助費用は会社によりけり)
- 健康診断を実施している医療機関で、全額自己負担で受診
- 自治体で実施している健康診断を自己負担ちょっとで受診
会社の一般健診(自己負担は会社によりけり)
会社の健康診断は、一般健診や人間ドックを受診できます。
対象者は以下のとおり。
- 常時使用する労働者
- パートやアルバイトも条件を満たせば対象となります。
パートの方は、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であれば、「常時使用する労働者」に該当します。
会社の健診はいくつか種類があり事業の種類によって受けなければならないものが決まっています。
どこで受診するかというと、会社で指定された医療機関があるはずですので、ご自宅近くや会社の近くなど、ご都合で決められると思います。
なお、個人で受診して診断書を提出するのでも問題ありません。
それが指定された医療機関でない場合は自己負担になると思いますが。
また、集団健康診断を実施している会社もあります。
いずれも労働者は法的に受診義務がありますから、必ず受診しましょう。
健康診断を実施している医療機関で、全額自己負担で受診
こちらは、個人で自己負担のもとで受診しにいく場合です。
健康診断は、保険適用も医療費控除もなく、費用は1万円前後かかります。
健康診断を実施している医療機関で受診することができます。
なお、自分で健康保険組合に加入している場合などは、一部補助が出ますので確認が必要です。
ちなみに、どうせ自己負担なら人間ドックを受けようという方、人間ドックも検査項目によって費用はまちまちですが、だいたい3万円~5万円という場合が多いです。
こちらも、組合から補助が出る場合もありますので確認したほうが良いですよ。
なお、このあとご紹介する自治体の健診は負担500円で受けられますので、全額負担を選ぶメリットはないように感じます。
が、こちらの最大のメリットは、指定された医療機関でなくとも受診可能であるということ。
そうすると何が助かるかというと、、、
小さな子連れでも行ける医療機関を選べるという点。
「子連れ人間ドックコース」などを設置しているところもありますし、宿泊つきで子連れでゆったり1泊しながら検査を受けることができる医療機関もあるのです。
いくら補助がでるからと言っても、子供を一時預かりなどを頼む費用と掛け合わせたりと労力を考えると、こちらの選択も十分魅力的だと思います。
自治体で実施している健康診断を自己負担500円で受診
一般健診は、多くの場合自治体で費用を補助して受診することができます。
人間ドックは対象外になるようですが、全額自己負担で受診するより500円で済むのは大変ありがたい制度かと。
自治体により対象が異なる場合もありますが、ここでは東京都町田市を参考に。
東京都町田市で受診できる対象は以下のように定められています。
- 今年度40歳以上74歳以下の町田市国民健康保険の被保険者
- 後期高齢者医療保険の被保険者
- 今年度40歳以上の、生活保護受給世帯の方、中国残留邦人等支援給付受給者
- 町田市に住民票のある今年度18歳以上39歳以下の方で、学校・職場等で健診の機会のない方
つまり、町田市在住で受診する機会がないだいたいの方がこちらの制度で受けられるということです。
医療機関は指定された医療機関の中から選ぶことができます。
毎年健康だけどとりあえず受診しておこう!という方はこちらを活用すると良いですね。
おわりに
健康診断についてご理解が深まりましたでしょうか。
健康診断は年間をとおして受診可能ですが、混む時期というのがだいたいあって、新年度が始まる4月は予約がとれないことが多いそうです。
新入時に受診しなければならない義務があるからですね。
学校でも新学期が始まってすぐに健康診断が実施されていませんでしたか?
会社は多くは5月~6月と9月~10月に実施するところが多いということ。
つまり、年に1回の受診を考えるなら、今から春先までがねらい目ということです。
ちなみに、集団健康診断時には、アルバイトスタッフがたくさん募集されます。
専門知識のあまり必要ない検査項目のスタッフは、資格がない人でもできちゃいます。
そしてベルトコンベア式にパパっと検査されるので、
「昨年より身長縮んだ!」とか、「視力がよくなった」とか、誤差が多いのも事実です。
正確な数値にこだわりたいのであれば、医療機関が空いている時期を狙って、精度の高い機器で専門科に検査してもらうほうが確実です。
若い人の身長・体重・血圧なんて別にだいたいで問題はないのですが。
私も30代にはいり、人間ドックの受診を予定しているとことで、いろいろとサーチ中です。
皆さんもこれを機に健康診断受診しましょうね。
コメントを残す