先週、国立感染症研究所でインフルエンザの流行レベルマップが更新されました。
みなさん今シーズンのワクチンの接種はお済でしょうか。
特に高齢の方や小さいお子さんのいるご家庭では、重症化を防ぐために必ず接種しましょう。
今回は、本格的に流行が始まる12月を目前に控えてのワクチンの接種のすすめと、2016年11月の第45週 (11月7日~11月13日))時点の流行状況をお伝えいたします。
目次
第45週 (11月7日~11月13日)の流行情報
今シーズンもインフルエンザに注意が必要です。
国立感染症研究所では、11月はじめの第44週より、インフルエンザ流行レベルマップを更新して注意を呼び掛けています。
11月18日に第2回目の第45週の流行情報が更新されましたので、現状の流行状況と流行レベルマップの読み方を合わせてお伝えします。
なお、インフルエンザの基礎情報・予防・治療についてはこちらの記事もご参考に。
1道2県で注意報発令
左が今シーズン最初の第44週の報告で、右が第45週の報告です。
2016年第45週の定点当たりの報告数は0.84(患者報告数4,133)で、前の週から0.59増えました。
「定点あたり」とは「1つの医療機関あたり」という意味です。
地域別にみると、
- 沖縄県(7.97)
- 栃木県(2.86)
- 北海道(1.92)
- 福井県(1.91)
- 岩手県(1.54)
- 群馬県(1.36)
- 埼玉県(1.12)
- 東京都(0.94)
- 石川県(0.92)
- 茨城県(0.90)
の順になっています。
第45週は、インフルエンザ流行レベルマップをみると、黄色で塗られた地域が出てきています。
黄色からオレンジまでは「注意報」レベルという意味です。
ちなみに、インフルエンザの注意報が発令される基準値は、1週間の定点当たり報告数が10を超える場合とされています。
第45週は、それぞれ管轄の保健所で注意報レベルを超えている地域が3箇所(1道2県)ありました。
流行の型はAH3亜型・AH1pdm09
また、直近の5週間(2016年第41週~2016年第45週)ではAH3亜型の検出割合が多く、次いでAH1pdm09でした。
AH3亜型はいわゆるA香港型のこと、
AH1pdm09は2009年に世界的にパンデミックを起こした新型インフルエンザのことです。
インフルエンザの型については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご参考にどうぞ。
冬季に流行るインフルエンザの感染経路 A型、B型、新型を詳しく解説
今シーズンのワクチン株は、新しく「B型」が追加され、「4価のワクチン」となっています。
ワクチン株とは、簡単にいうとワクチンのもとになるインフルエンザ菌の種のことです。
一口にインフルエンザといっても、たくさんの種類があり、その年の流行を予測してワクチンの成分(株)を決定します。
毎年だいたい3つの株でワクチンが作られ「3価のワクチン」とされていますが、
今シーズンは1つ追加されて「4価」というわけです。
群馬県利根沼田・北海道静内・沖縄県八重山地域は要注意
では、流行レベルマップにもどり、さらに地域を拡大してみます。
流行レベルマップで地域をさらに詳細に見たい場合は、該当する都道府県をクリックしてください。
第45週の場合は、群馬県・北海道・沖縄県で注意報が出ていましたので、それぞれ拡大してみますと…
このように、保健所ごとに報告があがった地域がわかるようになっています。
群馬県では利根沼田で集中した感染があったということです。
同じく、北海道では静内の保健所で集中した感染報告があったということ。
沖縄では、八重山の保健所で感染の報告があがったということです。
都道府県ごとの情報では広域すぎるため、このように保健所レベルの情報を参考にして、
流行地域では特に意識して感染防止に努めることができます。
第45週では、まだ流行が始まる直前ということで、
具体例とともに流行レベルマップの読み方をご紹介しました。
国立感染症研究所によるインフルエンザ流行レベルマップの次回の更新は、11月28日を予定しているとのこと。
ワクチン接種について
日本では、インフルエンザは例年12月~3月頃に流行し、例年1月~2月に流行のピークを迎えます。
ワクチンの効果が現れるのは、注射を打ってからだいたい2週間程度かかります。
国立感染症研究所では、毎年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと回答していますので、
これから約1か月間の間に、上手に予定を調整して接種できると良いと思います。
では、ワクチン接種にあたる基礎情報をお伝えしましょう。
ワクチンは全国の医療機関で受けられる
これまでスルーしていたけれども、このたび子供が生まれたので、
高齢の祖父母と同居が決まって…
などなど、今シーズン新たに接種を考えている方もいらっしゃると思います。
インフルエンザのワクチンは、お近くの医療機関で受けることができます。
まずは、かかりつけの医療機関で接種可能か問い合わせてみましょう。
なお、接種費用は自治体によって実施期間や費用が異なります。
だいたい全額自己負担で約3500円程度で受けられると思いますが、
例えばお勤め先で接種費用を一部控除してもらえたり、自治体によっては補助があったりもします。
よくわからない場合は、お住まいの市町村(保健所・保健センター)や医療機関に問い合わせてみると安心です。
ワクチンは必要量十分に確保されている
ワクチンの量は毎年、必要と思われる量を予測して作っています。
今シーズンの供給予定量(平成28年6月現在)は約5,504万回分(約2,752万本)です。
この量は、昨年度と比較すると10%程度少なくなります。
ちなみに、昨年度の推計使用量は約2,565万本だったため、
”足りない”ことにはならないとされています。
ワクチン接種量・接種回数は年齢によって異なる
インフルエンザのワクチンは、摂取量と回数が年齢などによって変わってきます。
- 6カ月以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種
- 3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL 2回接種
- 13歳以上の方 1回0.5mL 1回接種
成人の方は基本的に1回の接種で抗体が作られますので、2回分のスケジューリングは必要ありません。
小さい子供は2回接種が基本になりますので、早い時期に1回目の接種をしてあげたいですね。
なお、ワクチンの効果が持続する期間は約5か月間とされています。
「昨年受けたから今年は必要ない」
は通用しませんのでご注意を!
ワクチンの副反応について
インフルエンザのワクチンは任意接種です。
それは、副反応による健康被害が問題となった時期があったためです。
だから、人によっては「絶対受けない」人もいますよね。
ではインフルエンザワクチンの副反応について少しご説明しましょう。
どんな副反応が出るか
インフルエンザワクチンを接種すると、その後体に副反応と呼ばれる変化がみられることがあります。
この反応は、人によってさまざまで、全然なんの反応も出ない人もいます。
季節性インフルエンザで比較的多くみられる副反応には、だいたい下記のようなものがあります。
- 接種した部分が赤くなる
- 接種した部分を中心に腫れる
- 摂取した部分が痒くなる・痛みがある
こういった副反応は、だいたい10~20%の方に起こりますが、通常2~3日でなくなります。
また、全身性の反応としては、
- 発熱
- 頭痛
- 寒気(悪寒)
- だるさ(倦怠感)
などが見られ、こちらは5~10%に起こりますが、こちらも通常2~3日でなくなります。
また、とてもまれではありますが、発疹・じんましん・赤み・かゆみ・呼吸困難などのショック系の症状がでることもあります。
このような症状が出た場合は、速やかに医師に連絡してください。
ワクチン接種後の死亡例も0ではない
副反応はたいていが軽いものですが、まれに重たい症状が出ることもあります。
もちろん、すべてがワクチン接種によるものではないかもしれませんが、
副反応にも大小があることは知っておいてください。
ちなみに、ワクチン論争が絶えない理由が副反応による死亡例。
国立感染症研究所では、過去の死亡例を公表していますのでご覧ください。
1シーズンにつき、1例~多い年で4例と、統計的にみると”少ない”と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、この統計情報が問題なのは”死亡例”であること。
ワクチンは任意接種であるため、受ける受けないは自己判断です。
「感染したときに重症化を防ぐ」ため、二次感染の高リスク者には接種を強くおすすめしたいところですが、
こればかりは必要な知識とともに、ご自身で判断するしかないですね。
おわりに
我が家は、子供が生まれて以降、毎シーズン意識して流行前には接種するようになりました。
今シーズンの接種は私は副反応が大きく出たほうで、
注射した箇所が赤く腫れてかゆみ・痛みと、ご紹介したすべての副反応がでました。
任意接種は迷うところだと思いますが、高リスク者(高齢者や乳幼児)が近くにいる場合は、
二次感染のリスクの高さを調べたうえで、比較して決めてよいと思います。
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