世界一の長寿国である日本。
長寿であることは大変誇らしいこと。
でも同時に日本の問題は、高齢の方の割合に対して若い人が少ないこと。
そして年を重ねるということは、次第に衰えていく身体機能と上手に付き合っていく必要があるということ。
時には”介護”という人のサポートも必要になります。
でもそのサポート体制が、将来地域によって偏りができる予想が立っています。
簡単にいうと、医療・介護を必要としているのにサポートを受けられない人が続出するということ。
今回は、将来日本の医療・介護の需要と供給がどのようになっていくかを、簡単な数値を取り上げてお話しします。
目次
現代のライフサイクルを知ろう
まず最初に知っておいた方が良いことは、現代の平均的なライフスタイルです。
どのような一生を送るのが一般的になっているのかを知ることで、自分や家族の一生をなんとなくイメージすることができるでしょう。
イメージすることで、ライフプランを立てるきっかけにもなりますし、何歳ごろどんなことが起こってくるかというのも想像できますよね。
ではまずは健康寿命と平均寿命から。
2015年の平均寿命・健康寿命は
健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。
平均寿命は、その名のとおり寿命の平均です。
WHOが発表した世界保健統計2016では、健康寿命の世界1位は日本で74.9歳でした。
なお、2016年に公開された統計は、2015年の数値になります。
第2位はシンガポールで73.9歳、3位は韓国で73.2歳ということで、アジアがトップ3を独占。
最も健康寿命が短い国は、データがない国を除いて、シエラレオネの44.4歳。
続いて平均寿命ですが、これも日本が第1位で83.7歳。
第2位がスイスで83.4歳、第3位がシンガポールで83.1歳です。
最も健康寿命が短い国は、データがない国を除いて、シエラレオネの50.8歳。
寿命が短い・長いわけは
厚生労働省によると、平均寿命は「保健福祉水準を総合的に示す指標」だそうです。
つまり、日本やスイス、シンガポールは医療や福祉がとても充実しているということです。
日本は国民皆保険制度によって、医療費が本来の金額よりも安く済んでいます。
65歳未満の方でしたら、病院に行ったときに支払う金額は、本来の金額のたった3割。
スイスやシンガポールも、日本の国民健康保険制度と似た医療制度があって、いざという時のための医療費が少なく済むようになっています。
医療費が安いと、医療にかかる敷居が低くなりますよね。
病院やクリニックなどの医療機関が町中にあれば、すぐに診てもらいに行けますし、休日・夜間診療などもきちんと整備されている。
そのため、日本は「風邪でも病院に行く」人の割合が世界一位高い国です。
だから、海外から日本に来る方はよく、「風邪程度で病院に行くなんてありえない!」と驚きます。
私もそれには同意で、インフルエンザなどの感染症を除いて、単なる風邪ごときで、病原菌がたくさんいる病院に行くのはかえってリスクが大きいものです。
でも、それだけ日本人の健康への意識が高く、受けられる医療が充実しているということですし、それはそれで良いのではないでしょうかね。
さて、平均寿命・健康寿命が高い国の理由として他にあげられるのは、その国独自の食文化。
日本の伝統的な食事構成は健康のための理想だと言われています。
日本が世界一の長寿国である理由の1つとして、世界からも高く評価されている食事構成があげられています。
詳しくはこちらの記事もどうぞ。
一方、データがある中で健康寿命・平均寿命ともに最下位のシエラレオネ。
平均寿命が50.8歳とは驚きではないでしょうか。
一体どのような環境がこのような低い平均寿命を生んでしまうのでしょうか。
豆知識:シエラレオネが寿命が短い理由
シエラレオネは、西アフリカの大西洋側に位置する国です。
面積は北海道をひと回り小さくしたくらいの大きさの小さな国です。
2014年にエボラウイルスが大流行したことで記憶に新しい国ではないでしょうか。
出典:日本赤十字社「シエラレオネ 2012年 コレラ感染被害の概要」
シエラレオネでは、1991年から長く2002年まで内戦が続き、病院・学校はもちろん、生活環境のあらゆるものが壊されてしまいました。
でも問題は、内戦が終わったあと今でも復旧がなかなか進んでいないこと。
内戦が長かったため、シエラレオネには、人々が安心して生活できるための社会基盤をつくる経済力がなくなってしまったのです。
人が安全な生活をするためには、
- 安心な水
- 排水を処理する下水道
- 電気
これらがものすごく大事。
でもシエラレオネでは、これらが揃って生活ができている人が多くありません。
トイレがあって使える人も、全体の約1割程度といいます。
日本ならば、トイレに行きたければどこに行っても「ない」ことはないでしょう。
トイレがない、つまり下水道が整備されていないということですが、これが衛生環境を大きく左右します。
トイレがないと、汚水が川に流れ込んだり、汚物が住まいの周辺にあったりという住環境になるから…
また、教育体制も確立されていないため、人々は病気や感染症の知識もほとんどありません。
そして医者の数もものすごく少ない。
2012年にコレラが流行した時も、2014年のエボラがなかなか終息しなかったことも、患者やその周りの人に「衛生」の知識がなかったことや、現地の医療体制が機能していなかったことが一因でした。
シエラレオネの衛生状態はそれほどまでに悪く、人々の健康に悪影響を及ぼしていたということなのです。
ちなみに、生まれた子どもの4人に1人は5歳になる前に亡くなっているという報告もあるほど。
子供を持つ身として、5歳前に4人に1人は亡くなるなんて状況は、想像するだけでも痛ましい。
そして、劣悪な衛生状態だけでなく、貧困から食べ物や医薬品も不足していて、免疫力の低下や栄養不良から、人々は病気にかかりやすい状態になっています。
近年、ようやく国内のインフラを整えようという動きが加速化していますので、どうかどうか子どもたちの貧困が少しでも改善してほしいなと思います。
ちなみに、日本が初めて平均寿命が50歳を越えたのは昭和22年でした。
昭和22年とは1947年のこと。
第二次世界大戦が終結したのが1945年なので、戦後わずか2年の時代ですね。
戦時中は貧困と悪い衛生環境の影響で平均寿命が50歳に届きませんでした。
終戦の後、保健所の設置や感染症患者を減らすための予防接種義務化がすすめられたり、子どもの教育体制の整備も進んで、人々の生活の衛生状態が一気に改善して、この年からどんどん平均寿命が延びていったのです。
先進諸国と比べて寿命が極端に短い国というのは、戦争や内戦などの影響で貧困になり、こんな状態に陥ります。
- お金がないからインフラを整えられない
- お金がないから子どもたちが学校に通えない
- お金がないから栄養のある食事が食べられない
- インフラが整わないから医療水準が低いまま・衛生環境も悪いまま・子どもたちが労働しなければならない
- 子どもたちが学校に通えないと、基本的な衛生に関する知識が身につかない
- 栄養のある食事が食べられないと免疫力が低下
- 医療水準が低く、衛生環境も悪い環境の中、免疫力が低下した人々が衛生の知識を持たず、お金がないため医療を受けることもできない
インフラとは、国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設のこと。
具体的にはこれらの総称です。
- 学校
- 病院
- 道路
- 港湾
- 工業用地
- 公営住宅
- 橋梁
- 鉄道・バス路線
- 上下水道
- 電気・ガス・電話
- 河川
- 公園
- ゴミ処理施設など
日本は戦後の高度経済成長期より、これらのインフラが急ピッチで整備されました。
イメージしてみると、今のシエラレオネは、ちょうど戦後の日本の状況と似ているのではないでしょうか。
国民の寿命は、インフラの整備状況や衛生状態に深くかかわっているのです。
平均寿命と健康寿命の差が問題
寿命について、世界統計からちょっぴり丁寧にお話ししました。
元気でいられる期間を長くしたいというのは、私達人間は皆が思うことです。
政府も、医療費抑制目的ではありますが、「健康寿命を延ばそう」といろんなキャンペーンを出しています。
例えば、「介護予防」を目的とした「ロコモ予防」というやつ。
「ロコモ」とは「ロコモティブシンドローム」のことで、体の運動機能が低下している状態を指して言います。
今、介護になる原因第1位が運動器の障害。
それを予防するために「ロコモ予防」を普及させようというのがねらいです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
いま生活習慣病をはじめとする病気の予防が流行りのようになっていて、健康食や運動を意識する人が多くなっています。
今後また少し健康寿命は延びると思われますが、注目したいのは健康寿命と平均寿命の差です。
今の時点でも、男性で約9年、女性で約13年差があります。
これが意味することはなにかというと、
男性は9年、女性は13年も、寿命を迎えるまでに身体の衰えや病気・ケガなどを抱えた生活をする期間があるということ。
女性のほうが平均寿命が長いですからね。
キツイのは、女性より男性のほうが一般に寿命が短く、介護を必要とする段階で女性が1人残されるパターン。
2人暮らしから1人暮らしになる時への備え
残された女性の選択肢は、
- 他の家族・親戚に生活をサポートしてもらう
- 公共または民間の介護サービスを利用する
どちらかでしょう。
どちらが自分と家族にとって良いのか、寿命の長い女性でしたら特に考えておくべきことです。
いずれも、これまで2人で生活していたのが1人になるということ。
生活の中でお金の管理・家事・家の維持管理に係る手続きなど、これらをもしも2人で分担して行っているなら気を付けましょう。
良かれと思って分担、言い換えるとまかせっきりになっていたことは、1人になった途端にできなくて・またはわからなくて困ってしまうことがとても多いです。
例えば、女性に多いことで具体的には、家のライフラインの契約関連。
電気、ガス、水道、電話回線、インターネット、家そのものの契約など…
どういう手順で、どこに連絡すれば良いか、契約関連で保管しておいている書類の場所など、夫婦お2人がちゃんと把握していますか?
また、男性に多いことでいうと、キッチンの使い方や掃除の仕方、収納場所でしょうか。
今は栄養バランスの良いごはんが家で作らなくても手に入りますが、3食すべて外食するわけにもいかないでしょう。
節約も考えて新鮮な食材を口にしようと思うなら、簡単な料理はできたほうがいいです。
掃除の仕方は、布団の干し方とか殺菌・除菌の仕方とか、数ある掃除用具や洗剤なんかの使いわけとその収納場所。
2人の生活から1人になった時に最も巨大な壁となるのがこの”収納場所”ではないでしょうか。
あの人どこに入れたんだろう~
どちらか1人が動かねばならない時、そんなふうに探し回ることって、お2人とも健在でもよくありますよね。
それが、1人になったら本当にもう一人がノーヒントで探しぬかなきゃならなくなるわけです。
だから理想をいうと、生活するための家のなかのあらゆることが1人でできる、またはわかっている状態が一番です。
ちなみに、私がこの記事で意識していただきたいなと思うのは、”介護”が目の当りになる前の30代・40代・50代あたりの若者です。
若いうちが一番記憶力が高く、早いうちから生活周りのことを把握することに意識を向ければ、きっとそれはその人が生きる知恵にもなります。
我が家でも些細なことですが、家電などの取扱説明書はここ、子供の薬はここ…といったように、特に緊急の時にないと困るものの収納場所は家族全員分お互いが把握できるように、気づいた時に確認するようにしていますよ。
また回線関連の手続きなどについても、その段取りや仕組み、控えの書類の場所もきちんと説明して共有するようにしています。
ほかにもちょこちょこ意識していることはありますが、みなさんへのポイントとして、もしも夫・妻任せでわからないことがあるならば、「どうすればわかるか」だけは知っておくと良いですよということをご助言しますね。
現在のライフサイクルは
さてようやく本題。
2人暮らしが1人暮らしになった時の想定ということで軽く触れましたが、それは現在の平均的なライフスタイルからも考えることができます。
こちらは、1920年、1961年、2009年の家族の平均的なライフスタイルです。
比較グラフの最新が2009年と少しばかり古いものですが、だいたいこんなもんです。
棒グラフの黄色の期間は引退前、オレンジが引退後の期間です。
キャリアを考えて仕事をする女性が増え、産めるけど、産むタイミングで悩んだり、産まない人生を選択する人も出てきました。
そうすると子どもの数は減りますよね。
これが少子化の原因の1つ。
こどもが減って、でも今生きている人の数は変わらず、それがだんだん年齢を重ねると…
少子高齢化のできあがりというわけ。
さらに平均寿命が延びているため、仕事を引退してから寿命を迎えるまでの期間もどんどん長くなっています。
第2の人生といわれる理由がこれですね。
この第2の人生をできるだけ介護を必要としない健康で自立した生活を送りたいと思うのは皆さん共通だと思います。
また、もし介護が必要になっても、家族以外の十分なサポートの中で生活することができるなら、心労も少なく、安心して自分の人生を謳歌することができると思いませんか?
内閣府の高齢社会白書(H28年度)によると、介護の担い手が家族の場合は、割合が多い順で、
- 配偶者:26.2%
- 子:21.8%
- 子の配偶者:11.2%
となっています。
一方で、外部の介護サービスを利用する割合は、たったの14.8%。
本人や家族の希望もあるとは思いますし、介護サービスは施設入所型の場合は「入居待ち」なども問題となっています。
入所型の施設というのは、そこで生活できるサービスということです。
現在の施設入居待ちの状況
現在、高齢者がどんどん増えており、入所型の施設数も増えてきています。
特養の入居待ち状況
入所型の施設にはいくつか種類がありますが、国の補助を受けて比較的安価に利用できるのが、特別養護老人ホーム。
現在は全国に約9500施設ありますが、調査によると、特別養護老人ホームに入居したくても施設に入ることができなかった、”待機者”は、約36.6万人もいるとのこと。
実際には、全体の1/4の施設では空きがあるとのことですが、
- 介護職員が足りなくて入居者を受け入れられない
- 一時的に入院している方の空きベッドがある
- 医療的なケアが必要な方の受け入れ体制がない
- 近い距離にたくさんある
- 入所する要件が厳しい
というような理由で、空きベッドがあるのも事実です。
すでに高齢化のピークが過ぎてしまっている地域もありますしね。
需要(入居したい高齢者)と供給(施設数)のバランスが偏りがちというわけです。
現在の需要・供給の状況は
現時点でも、”待機高齢者”の問題を解消する方法として、入居条件を厳しくする必要がある一方で、入居希望者が来ないという地域もあるわけです。
つまり地域差ができてしまっている。
考えてみれば当然のことですが、高齢者がたくさんいて入居したいと考える人が多い地域は飽和状態になりますし、高齢者が少ない(そもそも人口が少ない)地域では、施設があっても空きができます。
都心の電車と田舎の電車の違いといえばわかりやすいたとえでしょうか。
入居したいと考える施設は、現在住んでいる地域が慣れているので希望する条件として大きいと思います。
また、親戚が近くに住んでいたりすることもポイントかもしれません。
そうなってくると、自然と現時点での人口割合がそのまま需要・供給のバランスになっていると考えてよさそうですね。
2010年の情報になりますが、首都圏の75歳1,000人当たりの総高齢者ベッド数をみてみましょう。
この場合の高齢者ベッド数とは、入居型の介護施設のベッド数の地域ごとの合計です。出典:日本の医療福祉の現状と将来予測:国際医療福祉大学
見方は簡単。
入居したい人に対して施設の空きが全然ないですよという割合が、黒が最も高い。
続いて赤、黄、白、水色、青の順に割合が減っていきます。
この図からわかるのは、黒・赤の地域は介護施設が全然ないですよということ。
黒の「70床以下」が意味するのは、ある地域に75歳の人が1,000人住んでいるとしたとき、入居できる人数がたったの70人ですよということ。
もちろん、75歳1,000人が全員介護を必要としているわけではありませんが、施設への入居を希望している人の多くが「入れない」または「入れたとしても施設を選べない」状況になるわけです。
ちなみに、この70床という数値には「入院などで一時的にベッドを空けている」人のベッド数も含まれています。
だから、実際に空いているベッドは70床もないと考えて良いでしょう。
東京23区はひどいですね。
その周辺の地域はまだ少し余裕があるということがわかります。
さてでは、この推移は今後どのようになっていくのでしょうか。
将来の需要・供給の状況予測
現在は2018年ですので、先ほどお見せした2010年の状況はちょっぴり古い情報でしたね。
どちらかというと現状に近いのはこちらの2020年の予測です。
東京23区のみならず、周辺地域もことごとく赤色に染まっていますね。
水色・青色の地域でしたら、まだ施設に余力があるとみて良いのですが、この図で青色なのは山梨県のみ。
埼玉県も真っ黒ですね。
ではその後、2030年の予測がこちら。
さらに10年度、2040年の予測がこちらです。
山梨はどういうわけか余力を残しているものの、首都圏はほぼ「施設への入居はむり」な状況です。
こんな予測があるから、国はいま「在宅ケア」を強く推して普及させようとしています。
自宅にいながら必要な介護や医療ケアなどのサポートを受けることですね。
とはいえ、現実は十分な在宅ケアを行うための体制が全然整っていないのが現状です。
在宅ケアへの移行についてはまた別の機会に取り上げるとしましょう。
首都圏の施設入居が困難になるのはすぐ
高齢者の数に対する介護施設の空きベッド数について、2040年までの予測を見てきましたが、2040年はまだまだ先のこととお考えではありませんか?
いえいえすぐですよ。
今が2018年ですので、ほんの22年後には2040年。
現在30代の方は50代に、40代の方は60代に、50代の方は70代になるわけですよね。
まだ自分自身の介護には早いかもしれません。
でもご両親はその時おいくつになるでしょうか。
現在60代だったら80代に、70代であれば90代になりますよね。
あらら、これは何らかの不自由が多い歳になることがイメージできませんか?
病気やケガなどが原因で介護が必要になる方も多い歳になるわけですよね。
親の介護・自分の介護を考える歳とは
身体の認知機能も衰えてきたり、自由に動き回れなくなると、例えば介護の手続きなども代わりに動かなくてはならないのがその子供。
全てのケースでそうとは言い切れませんが、買い物や事務手続き等の身の回りのちょっとしたことを子が親の代わりに行ったりするケースはとても多いです。
ちょっと車で送ったり、ちょっと荷物を持ったり手を貸したり、そんなことの延長に介護があるのだと思います。
でも、もしも必要とする介護が家族の手では足りなくなったり、本人が施設入居を望んだりする場面に直面したら、なるべく住み慣れた近場で質の高い介護施設を探そうという流れになりますよね。
がしかし、そうなった時にはもう首都圏には入れる施設がわずかしかない。
空き待ちをしながら自宅で介護を続けるという選択は、介護にあたる人の時間を大幅に捻出することになり、身体の状態によっては、介護する家族は就業ができないなど生活にも大きく影響してしまいます。
だから、今現在は全く実感がない介護も、20年もすると両親に対して、その後数十年経てば自分のことになるということを今のうちに知っておく必要があるのです。
将来は西日本が介護余力あり?!
首都圏だけをみてきましたが、全国の介護施設数と空きベッド数、高齢者の人口推移から将来の予測を立てると、介護に余力がある地域は西日本だろうとされています。
西日本とは、
- 近畿地方
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
の地域ですね。
具体的には、
近畿地方:大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・三重県・
中国地方:鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県
四国地方:香川県・徳島県・愛媛県・高知県
九州地方:福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県
です。
将来、東京を中心とする首都圏の介護状況は、大変厳しい状況になることが今の時点で予想されています。
介護だけでなくこれは医療も同じことです。
将来、首都圏の高齢者の人数に対して、予想される医者の数が圧倒的に不足するシミュレーションがあるのです。
医者が足りないとどうなるかというと、緊急の時に医師がいない、十分な医療が受けられなくなるということですよね。
介護についていうと、人により居住地への考え方はさまざまではありますし、どのような介護を望むかにもよりますが、少なくとも、将来首都圏では、もしも施設入居型の介護サービスを希望する場合は希望通りにはいかないことがいえます。
解決策の1つが西日本など介護に余力がある地域へお引っ越し。
西日本やそのほかの地域でもまだ介護に余力がある地域をサーチして、早いうちに引っ越してしまうというのは1つの手段です。
親戚みんなでとはいかなくとも、本当に困った時の解決策の1つとして頭の隅に入れておいても良いかもしれません。
また、これから住まいの地域を探すタイミングがある方で、首都圏か西日本の地域で検討されているのなら、迷わず西日本を選ばれて良いのではないかと思います。
おわりに
老後の介護の心配を今からしなければならない状況というのは、日本の高齢化の速度と、介護体制の整備状況と、国の在宅への意向とに振り回される状況で、何やら厳しい時代と国に生きなければならないですよね。
でも、そんな状況を知っているか知らないかだけで、選択肢の数が一気に変わってきます。
介護の実状は、テレビのドキュメンタリーなどでも知ることができますが、若い人は見ないですよね。
だから、方法は思いつきませんが、もっとこういった知識を知る機会が増えるといいなと思います。
西日本への引っ越しはちょっぴり大胆な解決策ではありますが、老後の居住先について若いうちからイメージするきっかけにはならないでしょうか。
引っ越しとまではいかなくとも、将来介護を目前にした時に、どのような生活をしたいか、できるだけ不自由なく生活するためにはどんな介護サービスが受けられるのか、家族のサポートについてはどのように考えようかなどなど、ある意味で本人もその家族も自身の生活スタイルを左右することに対して、事前の心の準備ができると思います。
私はあらゆる選択肢を知ったうえで、自分の生活に最大限に満足できる方法を選びたいなと思います。
介護に関する別の記事もいくつかございますので、興味のある方はどうぞ。
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