春です!あたたかな季節がやってきます。
そんな時に、私たちを悩ませるものといえば……そう、花粉症です。
くしゃみ、鼻づまり、目の充血、止まらない鼻水と涙。
私自身も、花粉症に悩まされる体質です。
幸い症状が重いわけではありませんが、外出する時にはマスク、帰宅したら粘着テープで全身をコロコロして、なんとか花粉に対抗しています。
そんな花粉症の対策として、近年注目を浴びているのが「乳酸菌」!
ヨーグルトやサプリメントなどを食べて乳酸菌を摂取すると、花粉症の症状が軽くなるというのです。
私も半信半疑ながら、去年(2017年)は乳酸菌を摂って、自分の身体でも実験してみました。
あくまで個人的な感想ではありますが、乳酸菌を摂っていた去年は、花粉症の症状が軽くなったような気がしています。
しかし、私ひとりの「気がしています」だけでは、効果があるとは言えませんよね。
そこで今回は、花粉症と乳酸菌との関係について、データをまじえて紹介します。
目次
花粉症のメカニズム
まずは、花粉症がどのようにして引き起こされるのかを説明します。
花粉症は、一種の「アレルギー症状」です。
目や鼻などの粘膜に付いた花粉を、身体の免疫機能が「異物だから、排除しよう!」と反応します。
免疫機能は、異物(今回の場合は花粉)に対抗する武器として「IgE抗体」と呼ばれる物質を作りだします。
この抗体が作れる状態で、ふたたび花粉が体内に入ってくると、血液や粘膜にある白血球や肥満細胞と抗体が反応して、花粉を体の外に排除するための反応を起こすのです。
たとえば、目から涙を流すことで花粉を洗い流す反応。
あるいは、くしゃみで鼻の粘膜に付いた花粉を吹き飛ばす反応。
症状には個人差があり、くしゃみが止まらない方もいれば、とにかく目がかゆい方、のどがイガイガする方もいます。
本来であれば、この免疫機能は「身体に害になるもの」を排除するためのシステムなのですが、無害なはずの花粉を「異物である」と判断すると、症状が出てしまうのです。
そして厄介なことに、一度身体が「異物である」と覚えてしまうと、自然に治ることは難しいと言われます。
更に詳しく花粉症について知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
花粉症の対策
では、花粉症の対策には、どのようなものがあるのでしょうか。
今回は、身体の外から防ぐ方法と、身体の中から防ぐ方法に分けて説明します。
身体の外から花粉症を防ぐ方法
花粉症は、目や鼻などの粘膜に花粉が付着することで引き起こされます。
であれば、花粉を目や鼻に付けない、または付いてもすぐに洗い流すことで、症状を緩和することができるというわけです。
冒頭で書いた「マスクを着ける」「服に付いた花粉を粘着テープで取る」といった方法が、これに当たります。
他にも「眼鏡をかける」「目や鼻を洗う」というのも、この方法です。
また、症状が出ていなくても、花粉と多く接触することで、体内の免疫機能が準備を始めてしまう可能性があります。
そのため、現時点で症状が出ていない方であっても、花粉の季節には予防の意味で、マスクなどの対策をしておいた方がよいでしょう。
身体の中から花粉症を防ぐ方法
花粉症が、体内の免疫機能によって引き起されるのは先に説明したとおりです。
免疫機能には、身体に異物が取りこまれてから症状が出るまでに、いくつもの段階があります。
その段階の途中を、薬を使って阻害することができるのです。
また、アレルギー反応を根本から治す方法としては、アレルゲンの花粉エキスを少量ずつ、長期にわたって体内に取り込む方法もあります。
現在はスプレー式が主流ですが、近年注目されているのが、遺伝子組み換え技術で作った「スギ花粉症緩和米」の研究です。
アレルゲンとなるタンパク質を含んだ米で、それを毎日の食事に取り入れることで、症状を抑えることができるというもの。
現段階では商品化にはつながっていませんが、期待したいですね。
これらの薬やスプレーは、病院にかかる必要がありますので、つらい症状に悩んでいる方はぜひ相談してみてください。
そのほかにも、ハーブティーや乳酸菌などの「民間療法」もあります。
現時点で科学的な根拠が不足していれば厚生労働省の見解は「民間療法」になりますが、その中のいくつかについては、データが集まりつつあるのです。
今回紹介する「乳酸菌」は、腸内細菌のバランスを整えることで免疫機能にアプローチする方法で、試験データがいくつか存在しています。
乳酸菌と免疫機能
乳酸菌が花粉症の症状を抑える理由は、腸の免疫機能にあります。
みなさんご存知の通り、腸は食べた物の消化や吸収を行う臓器ですが、食べ物と一緒に菌などが体内に入りこむことは、珍しくありません。
そこで、身体に害のある異物から身を守るため、免疫機能も備えているのです。
花粉症の症状を軽くするには、アレルギーに関わる免疫細胞の「Th1細胞」と「Th2細胞」のパワーバランスが重要です。
この2種類の強さのバランスが崩れて「Th2」の方が強くなると、先ほど紹介した「IgE抗体」が多く作られ過ぎて、アレルギー症状の原因になってしまいます。
乳酸菌は、免疫細胞の「Th1」に働きかけることで「IgE抗体」が作られ過ぎるのを防ぐのです。
乳酸菌を摂ることで腸内細菌のバランスを整えれば、免疫機能も良好に保たれるというわけですね。
乳酸菌の抗アレルギー作用について、森永乳業とアサヒ飲料の試験結果がありますので、紹介します。
試験方法1
森永乳業が実施した試験です。
花粉症患者44名をふたつのグループに分け、スギ花粉が飛び始める約1ヵ月前から、片方のグループには「ビフィズス菌BB536」の粉末(1000億個/日)を、もう片方のグループにはプラセボ(偽薬)の粉末を摂取してもらいます。
13週間にわたって摂取してもらい、花粉症の自覚症状と、アレルギー症状と関連する血液検査を行いました。
試験結果1
「ビフィズス菌BB536」を摂取したグループは、プラセボを摂取し他グループに比べて自覚症状が緩和されていました。
また、アレルギー症状と関連する血中マーカーも改善されました。
以下の図は、ふたつのグループの自覚症状と血中マーカーを比較したグラフです。
【出典】ビフィズス菌BB536とは – 抗アレルギー作用|ビフィズス菌研究所 – BB536.JP
「ビフィズス菌BB536」については、粉末だけではなく、ヨーグルトを用いた臨床試験においても、同様に症状の改善が認められています。
試験方法2
アサヒ飲料が実施した試験です。
花粉症患者80名に、花粉症の実験施設で症状を引き起こします。
80名を4グループに分け、それぞれのグループに「L-92乳酸菌」の菌末を配合したタブレット3種類 (菌末量20mg、60mg、180mg)と、プラセボ(偽薬)のタブレットを摂取してもらいます。
8週間にわたって摂取してもらい、再び実験施設で症状を引き起こし、眼のかゆみと鼻のかゆみの自覚症状を調査しました。
試験結果2
「眼のかゆみ」「鼻のかゆみ」の両方で、乳酸菌を摂取したグループは、症状が軽くなっていました。
以下の図は、それぞれのグループにおける摂取前と摂取後の「眼のかゆみ」「鼻のかゆみ」の自覚症状の強さを示したグラフです。
このふたつの試験結果から、乳酸菌の摂取によって腸内細菌のバランスが良好に保たれることで、免疫機能が改善し、乳酸菌を摂取することで花粉症の症状を軽くできるのではないかと考えられます。
乳酸菌のおすすめの摂取方法
厚生労働省は「民間療法」としていますが、それでも可能性があるのなら、試してみたいものですよね。
そこで、乳酸菌を摂取するにあたって、注意したいことが3点あります。
乳酸菌は薬ではない
まずひとつは、乳酸菌はあくまで食べ物であって、薬ではないということです。
花粉症の薬のように、すぐに症状が改善したり、劇的に効果があったりするわけではありません。
結果には個人差もあることも、覚えておきたいですね。
また、腸内細菌のバランスを整えるためには、長期にわたってコンスタントに摂取する必要があります。
自分が毎日続けられる方法で、じっくり試していきましょう。
摂取する乳酸菌の種類
次に、摂取する乳酸菌の種類です。
乳酸菌には多くの種類があり、各メーカーがいろいろな菌を持っています。
前述の試験でも
- 森永乳業は「ビフィズス菌BB536」
- アサヒ飲料は「L-92乳酸菌」
という菌を使っていました。
乳酸菌であれば何でもいいというわけではありませんので、できるだけデータがあるものを選びましょう。
乳酸菌を摂取する方法とタイミング
そして最後に、乳酸菌を摂取する方法とタイミングです。
乳酸菌といえばヨーグルト!ですが、他にもいろいろな方法があります。
乳酸菌飲料もありますし、粉末状の乳酸菌や、タブレットやカプセル入りのサプリメントなどもあります。
選ぶポイントとしては、自分が続けやすいことが大切ですね。
また、たとえば粉末の乳酸菌の場合、高温のお湯に溶いたり、かんきつ類など酸の強いジュースに混ぜたりすると、乳酸菌が死んでしまうこともあります。
サプリメントは注意書きをよく読んで、正しく摂取しましょう。
また、乳酸菌は胃酸にも弱いので、空腹時よりも食後などに摂取するのがオススメです。
まとめ
今回は、春のつらい悩みである「花粉症」と「乳酸菌」について説明しました。
まとめると、以下のようになります。
- 「花粉症」は、身体の免疫機能が引き起こすアレルギー症状です。
- 対策には、マスクや眼鏡、粘着テープなどで「身体の外から防ぐ方法」と、薬や乳酸菌などの「身体の中か防ぐ方法」があります。
- 乳酸菌によって腸内細菌のバランスが整えば、免疫機能が改善し、花粉症の症状が軽減されるというデータが存在しています。
- 乳酸菌を摂取する時は、菌の種類と摂取する方法、タイミングに注意して、毎日続けることが大切です。
食べたり飲んだりすることで、花粉症の症状が軽くなるなら、こんなに「美味しい」方法はありませんよね。
実際にどの程度効果があるかは研究中の部分も多いですが、個人的には効果を実感しているところです。
ヨーグルトを食べて、この春を乗り切りたいと思います!
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