日本で流行しやすい冬と春で気をつけるべき7つの感染症とその理由

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2017年、新年を迎えましたね。

今シーズンの年末年始は暖かな日が続きましたので、里帰りなどの際も比較的動きやすく、ゆっくりと過ごすことができたのではないでしょうか。

年始は恒例の箱根駅伝がありました。

今年も青山学院大学が3連覇と実力は健在のようですね。

しかしこの時期の大敵が「インフルエンザ」を代表とする感染症。

優勝候補だった山梨学院大学は、主力3選手がインフルエンザに罹り、無念にも17位。

また同じく注目されていた駒澤大学も選手1名がインフルエンザに罹り、万全とはいえない体調で大会にのぞんだようです。

大会直前の青山学院大学の原監督のコメントが印象的でした。

「最も警戒していたインフルエンザやノロウイルスなどを一人も患っていないことが一番です」

どんなに気を付けていたとしても、ワクチンを打っていたとしても、

完全に滅菌された部屋にでも隔離しない限りはインフルエンザを100%阻止することは困難です。

そういった点では、青山学院大学は運も味方につけたといえるでしょう。

前置きが長くなりましたが、このように大事なイベントにのぞむ前には感染対策をしておきたいねということで、今回はこれから春にかけて流行しやすい感染症を紹介しようと思います。

日本でメジャーな感染症

感染症とは、いわゆる「風邪」と総称される上気道炎に始まり、インフルエンザやノロウイルスなど人から人へ感染するものを指します。

感染力の強さや、重症化する恐れから、人が多く集まる場所では感染予防が重要です。

日本ではほぼないですが、感染症を称されるものの中には、致死率の高いエボラ出血熱(致死率46~89%)やコレラ(未治療75~80%(治療時1~2%))なども発展途上国では問題となっています。

渡航の際に十分に気を付けるよう、外務省などが呼びかけ、空港での検疫があるのは水際対策というわけですね。

これまで、流行時期にいくつか感染症を取り上げ紹介してきましたが、

では、日本で流行する感染症はどんなものがあるのでしょうか。

2016年シーズンに流行したものも含め代表的なのがこちらです。

  • 上気道炎(風邪の総称)
  • インフルエンザ
  • ノロウイルス(感染性胃腸炎)
  • ロタウイルス(感染性胃腸炎)
  • 麻疹
  • 風疹
  • 溶連菌
  • 水痘(水ぼうそう)
  • RSウイルス
  • ヘルパンギーナ
  • マイコプラズマ肺炎
  • アデノウイルス
  • 咽頭結膜炎(プール熱)
  • とびひ
  • 手足口病
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

主に小児や高齢が感染する感染症が多いですが、インフルエンザやノロウイルスなどは年齢問わず感染します。

耐性が強くない小児・高齢の方は重症化を避けたいので、十分な予防対策が必要です。

冬に流行る感染症

予防するためには、感染症の流行時期よりも前に感染症の知識を得て適切な対策をする必要があります。

インフルエンザのワクチンが10月ごろから医療機関で接種できるようになるのは、流行時期よりも前に抗体を作っておくのが効果的だからです。

なお、まだまだ冷え込む日が続くため、冬に感染症が流行する理由もお話ししておきましょう。

冬に流行する理由は

感染症は“冬に流行しやすい”印象があります。

それは正解で、空気が乾燥する冬の時期に感染しやすい感染症が多いです。

特に、インフルエンザやノロウイスによる感染性胃腸炎がその代表です。

ではなぜ冬に流行るのでしょうか。

その理由がこちら。

  • 空気が乾燥するとウイルス中の水分が蒸発して比重が軽くなり、空気中にウイルスが浮遊しやすくなる
  • 冬は大気や皮膚表面の水分が十分でないため、皮膚にウイルスがついたときに体内に侵入しやすい(特に乾燥による肌荒れ箇所からは侵入が容易)
  • 湿度が40%以下の乾燥した室内ではウイルスは30分間も漂い続ける
  • 1回のくしゃみで出るウイルスは約100万個、咳で出るウイルスは約10万個と言われ、冬に締め切った室内はウイルスの温床
  • 乾燥した外気で咳やくしゃみの飛沫が小さくなり、より遠くまで飛ぶため、一度のくしゃみや咳による感染範囲が広がる
  • 冬は体温が下がるため人の免疫力が低下する
  • 乾燥の影響で、粘膜や粘液の機能が衰えウイルスが侵入しやすくなる

冬は特に咳やくしゃみを主の感染経路とする感染力の高い感染症がさらに感染力を強める条件がそろっているのです。

冬に感染症が流行しやすい理由、納得ですよね。

でも実は、春にも流行りやすい感染症があるのです。

春に流行りやすい感染症

春は暖かいし気候が穏やかで、感染症が流行するイメージはありません。

でも実は、春は案外要注意な時期なのです。

インフルエンザは春になっても油断できませんし、麻疹・風疹にも罹りやすいです。

ではここで、麻疹と風疹の特徴をみてみましょう。

麻疹

麻疹は「はしか」のことです。

日本では2007年~2008年に10代~20代で大流行しました。

それをきっかけに、それまで1歳と小学校入学前を対象にしたワクチン接種のみであったのを、中学1年生と高校3先生にも接種したこと(2008年から5年間の対象者のみ)で、患者数が激減しました。

そしてついに2015年3月、「日本国内のはしかウイルスは排除状態になった」ことをWHOに認定されました。

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はしか患者報告数の推移(2008年~2015年3月18日 提供:厚労省)

排除状態とは土着株がない状態、つまり、海外から持ち込まれたウイルスによって感染することはあっても、国内から感染することはなくなったということです。

とはいえ、依然持ち込みによる感染者は0ではないため、特徴をおさえておきましょう。

【症状】発熱、咳、鼻水、眼脂、結膜炎、発疹など

【潜伏期間】10日~12日

【感染経路】空気感染、飛沫感染、接触感染

予防はワクチン接種と手洗い・うがいです。

ワクチンを1回接種することで、95%の人が免疫を獲得することができるといわれています。

風疹

風疹は別名「3日はしか」と言われていて、日本では特に40代~50代男性が抗体を持っていない割合が高いことが問題となっている疾患です。

妊婦さんが20週頃までに感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群という障害を持って生まれる可能性が高いため、現在日本では国をあげて予防啓発に取り組んでいます。

風疹の特徴がこちらです。

【症状】発熱、発疹、リンパ節腫脹など

【潜伏期間】16~18 日

【感染経路】飛沫感染、接触感染

予防はワクチンが効果的です。

1回の接種で95~99%の人が免疫を獲得することができるといわれています。

風疹について詳しくはこちらの記事もご参考に。

こどもに多い感染症

では次にこどもに多い年間の感染症カレンダーより、春先に流行しやすい感染症をご紹介しましょう。

こちらは日本病児保育協会が作成したもので、こどもがかかりやすい感染症をとりあげています。

大人もこれらの感染症に罹ったら重症化する場合が多いので要注意です。

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(財)日本病児保育協会「いつ!?どんな病気にかかる!?子どもに多い病気の年間カレンダー」

年間をとおして上気道炎「いわゆる風邪」は流行りますが、特に春先~5月頃にかけては、

  • 溶連菌感染症
  • インフルエンザ
  • 感染性胃腸炎
  • 水痘(水ぼうそう)
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

このあたりです。

こちらの感染症に麻疹・風疹もくわえ、変わらぬ予防意識を持つことが重要です。

春に流行する理由

さてでは、春にこれらの感染症が流行る理由はなんでしょうか。

それは、以下にあげるように春ならではの環境の変化が大きいといえるでしょう。

  • 新年度を迎え新しい人と出会う機会が多くなる(入園、入学、進学、入社など)
  • 新生活や新学期で生活リズムが変わるとストレスがかかりやすくなる
  • 日照時間が長くなり、夕方から夜の外出が多くなる
  • 日中暖かくても夜は急に気温が下がるので体温調整が上手くいかなくなる
  • 風が強い日が多く花粉も多いため、アレルギー症状による咳やくしゃみが感染症の流行を促進させる
  • 暖かくなったことで感染症への予防意識が薄れる

体調を崩しやすいのは、4月に入ってすぐよりも、ゴールデンウィークあたりが多いとのことです。

新入社員がゴールデンウィーク明けに体調不良が原因で退職するというケースは珍しくありませんし、

せっかくの連休なのに体調が悪いという人も多いのではないでしょうか。

アレルギー症状というのは、感染するものではありません。

でもアレルギー反応とはいわゆる「体への刺激に対して過度に防衛機能が働いている」ということです。

つまり、ちょっとした刺激に敏感になってしまっている状態であるということ。

花粉症に代表されるアレルギー反応は突然現れるケースが多いです。

花粉の飛散量が急激に増えていることが主な原因ではありますが、

そもそも花粉自体に毒性はありませんので、「異物」として反応する必要はないのです。

一気に増えて体内に侵入してきた花粉を「別に何ともありませーん」とスルーできる免疫力がないから反応してしまうのです。

つまり、アレルギー反応が出ている状態は体の免疫力が弱まっている状態ですよということ。

他の感染症にも罹りやすい状態であることはご理解いただけるでしょうか。

また、花粉症に罹って鼻づまりがひどく口呼吸の量が増えると、ウイルスや細菌が口から体内に侵入する割合が増えることも理由の1つです。

花粉症に関する記事はこちらもご参考に。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

これから2月にかけて冷え込み・乾燥する時期が続きますが、その場合は”保湿”に重点を置いた予防を心掛けると良いですね。

乾燥によるささくれや肌荒れもウイルスや細菌が体内に侵入する経路になってしまいます。

ふと思い立ったらすぐにクリームを塗ることが大事です!

また、こどもがいる方は特にこどもは皮膚が薄く、冬~春にかけての紫外線の影響や寒風のせいで水分量が減っています。

大人と同じく、外出する際は低刺激の日焼け止めを塗ってあげて、お風呂後は特に水分が蒸発しやすいのですぐに保湿してあげましょう。

引き続き、インフルエンザは春まで流行しますので、ワクチン接種がおすみでない方は強くお勧めします。

また、特に40代~50代男性の風疹ワクチン接種も強く強くお願いしたいです。

ちなみに、春先私が最も恐怖しているのは「花粉症」ですが、それについてはご興味のある方は上記の記事参考に、その後「アレルギー」を題材にした記事も予定しておりますので、そちらもお待ちください。

ではまた。

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